2011年 年の瀬を迎えて

久しぶり、本当に久しぶりの紅茶日記です。

この日記を書いている今日は秋茶のテイスティングをしております。

先週も2011年秋茶ティーオークションの為のテイスティングを行いましたが、ダージリンティーがもう1ロット分必要と思われたので、第51回の紅茶オークションにも参加する事にしサンプルティーの試飲をしました。

ティーオークションは明日12月20日(火)にコルカタのティーオークションセンターで行われます。

とにかく『美味しいです』

新鮮な極上の茶葉からは”自然な甘み”が口から身体へ染み込み、そして心にも染みてきます。

テイスティングでは分析がとても重要です。

簡単に「美味しい」「マズい」と言っては駄目です。

各々の茶葉の特徴を正確に見極める事がまず一番に求められます。

真剣勝負で紅茶と向きあいます。

私共は30年間これを続けてきました。

そして選びに選び抜いた『新茶の紅茶』を皆様にお届けしてきました。

ところが最近少し心境に変化が現れてきました。

テイスティングするどの紅茶も美味しく愛おしく感じられるのです。それぞれにしっかりとした特徴と個性を持ち、まるで我が子の可愛さを喜んでいるかのようです。

そして、1983年以来何百回となく農園名をふせてテイスティングを行ってきましたが、なぜかテイスティングに参加するスタッフが『同じ紅茶を選ぶ!』というとても不思議な事が毎回起こります。

我が社ではテイスティングは農園名をふせた完全なブラインドテイスティングです。

紅茶のランクや過去に競り落とした農園名にとらわれず、新鮮な感覚で美味しい紅茶を選ぶためです。

その謎に今日ふと気付いてペンを取りました。

美味しい紅茶を選ぶポイントは『自然な甘み』が感じられる事!

この『自然な甘み』が口から身体全体へ、そして心の奥底までも満たしてくれるのがとても重要な要素だと思います。

今年は誰もが想像出来なかった悲惨な震災がありました。

私共ガネッシュでは緊急に茶葉を岡山へ移したり、2店舗あったティールームを創業時の定禅寺通り店一店にまとめたりしました。

突然襲った大変な出来事にも冷静に対応し、いち早く復興に努力しました。

『長くて短い1年』だったと、振り返って事の重大さに驚いております。

今こうしてスタッフ共々長かった今年一年の年の瀬を無事迎える事が出来、来年に向けて明るく充実した未来を思い描いています。

縁あって『新茶の紅茶』に出逢えた私達は本当に幸運だと思っています。

そしてこれからも『新茶の紅茶』が幸運のパワーを皆様にもたらすよう、縁の下で支える覚悟でおります。

お客様からいただいた胸がつまる嬉しいお話しをひとつご紹介したいと思います。

「真っ暗闇で雪が散ら付く極寒の夜に、小学校の校庭に張られたテントの前で木材を集めて火を燃やし、お湯を沸かしてみんなで身体を温めようとしていました。でも、私はみんなに「ちょっと待ってて!」と言って急いで傾いた自宅に戻りました。懐中電灯の灯りを頼りに紅茶とポットを探し、避難所に走り、『新茶の紅茶』をみんなで飲んだんですよ。そしたらみんな、身体に染みるね、心に染みるね、って!」
「涙が止まらなかったんです」
「同時にね、美味しいだけじゃない物って確かにあるなって思いました」
「仙台生まれのこの紅茶はそんな想いのこもった心の紅茶なんですよ」

来年は皆様にとって幸せな時間がたくさん訪れる年でありますように・・・ 

  あべ 耕也 記  12月17日