阿部耕也の紅茶日記
2010年夏茶ダージリンリーフティー

2010年夏茶ダージリンリーフティーについての解説

例年は11月発売だった夏茶ですが、今年は入荷が予定より丁度一月程早くなり、また、春茶が御好評を頂いて在庫が残り僅かとなったことも重なって、そのまま例年より一月早い10月1日に本年の夏茶が発売となりました。

さて、その夏茶ですが、ダージリンリーフティーは先のレポートに書かせて頂きました通り、春茶に引き続いてCastleton(キャッスルトン)茶園の紅茶が2ロット共選ばれました。
「新茶の紅茶」を選ぶ基準につきましては、これまで幾度もお伝えしてまいりましたが、ここで今一度ご説明致します。端的に申し上げますと、「茶園名は一切考慮しない」つまり、「全ての紅茶はブラインドテストで選ぶ」という姿勢を私共では貫いております。この方法でしか最良の紅茶を選ぶ方法が無いからです。ですから、今年になって選ばれた春茶1ロット、夏茶2ロットのダージリンリーフティーの全てが同じ茶園であるということは大変稀なことなのです。
 ダージリンには現在98の農園がありますから、全ての農園が同じ可能性を持つとすれば毎回98分の1から私共のお茶は選ばれていることとなります。その98分の1の確率が3回続くとは、宝くじの高額当選確率並ですね。さて、本題に戻ります
 既にこの紅茶をお飲みになられた方、この文章は2010年10月7日に書いておりますが、お手元の紅茶はダージリンリーフティー、Castleton茶園のINVOICE No Dj100でしょうか。この紅茶のなんと甘いこと。煎れたてから多少温度が下がって飲みやすくなった頃に醸し出される舌に感じる紅茶独特の甘みが極上です。
新鮮な紅茶の葉から出る甘みとしては”完璧”な逸品です。
また、香りもフルーティーですし、味わいは爽やかさの中にも微妙な種々の味わいがミックスされていて、ブレンドされていない単品の紅茶からこれ程深みを感じられる物は早々ありません。
しかし残念ながら、こちらのDj100はロットの関係から10月末には全て完売してしまう予想です。続いてDj100の次に発表するDj102を飲んでみます。こちらも同じCastleton農園で原木もDj100と同じ中国種です。Dj100に比べて水色はほんの少し濃く、香り・味わい共にDj100を少し太らせたような印象を受けます。もちろんこちらも是非お飲み頂きたい逸品です。
 ところで、社員の阿部友帆君が『ユウホの紅茶四方山話』の第二弾で紅茶を煎れる際の水についての比較をレポートしておりましたが、中々興味を惹かれる内容でした。
そう、水の違いは特に「新茶の紅茶」のダージリンに於いては絶大です。水によって味も香りも水色(すいしょく)も変化します。
特に新鮮で優れた茶葉のダージリンリーフティーではその違いは大きいものです。水の違いがそのままに出る紅茶なのです。
「では理想の水は?」と私が聞かれましたら、どう応えましょうか。
お近くに山の水に詳しい方がおられて、その方が「時々山に水を汲みに行くんです」とおっしゃっていたら、その水を是非分けてもらってみて下さい。他にも「ここの水は最高だよ」と自慢されている水があればそれで結構です。とにかく、水の美味しさが分かる紅茶、水の良さが引き立つ紅茶、それが「新茶の紅茶」ダージリンリーフティーなのです。もう一点お伝えしたいことがあります。ポットの中で濃くなった「新茶の紅茶」はお湯や水で薄めれば美味しさが戻ります。お試しあれ。特に今回のDj102は冷えた後の紅茶にお湯を加えますとその美味しさが見事に蘇ります。
 以下は今回のダージリンリーフティーDj100とDj102を証明する2種類の原産地証明です。ご参考までに。
あべ こうや 記

TEA BOARD OF INDIA 発行

 

GOVT OF INDIA 発行