阿部耕也の紅茶日記
岡山レポート No.4

Sent: Wednesday, May 15, 2002 3:41 PM
Subject: Re: 1つ目の壁。

阿部耕也紅茶研究所 阿部耕也 様

岡山は、昨日のお天気がウソのように快晴になりました。
気分もこうであればいいのですが・・・。

昨日、両親と姉夫婦が揃ったので、紅茶のお店をしたいことを話し合いました。
父親には初めての相談で、先週母親に話したことを伝えました。
答えは、母親と同じようなことを言われ、「お店をするなとは言わないけれど、不景気だし、やっぱり結婚を早くして幸せになってもらいたい」と。
姉にも、「現実は厳しいし、そんなに甘いものじゃない」と言われました。
何よりも家族の理解が今は大切だと思っている矢先に、姉からも母親からも、夢は夢で終わらせた方がいいと言われ、最後には、田んぼでも売って勝手にすればいいと話を切られてしましました。
この1週間、始めのうち母親は殆ど口を聞いてくれませんでしたが、自分の方から普段と変わりない接し方をしようと思い、更に歩み寄る気持ちで実行してきました。
そんな中、母親も少しずついつも通りになってきたので、父親にも話をするようにしました。母親は、前回の話し合いで私が自分の気持ちを理解したものだと思ったらしく、昨日皆の前で再度話をしたのは、諦めがつかないからだと、落胆した様子でした。
何度も何度も、結婚をして欲しいと言われ、「早く結婚して欲しいのが私の夢」と母親は言いました。
結局、私自身もう少し考えますということで、話し合いを終えました。
自分の意志を貫く大変さ、夢を追うことで家族から自分勝手だと思われる立場、親にとって結婚が幸せだと安心させることだと改めて強く感じさせられました。
資金面で、姉に「TVである女性がフランス料理のお店を持つために、3つぐらい掛け持ちでバイトをして、何年も働き、フランスに渡って修行をしてお店を出したのを見たことがある。親に借りようなんて気持ちは甘いし、自分でそこまでお金を貯めてすればいい」といわれたことに対して、何も言い返すことができず、悔しかったです。
信念を変えることができないのは、後悔したくない気持ちが強く、自分らしく生きていきたいと思っているからだと思います。
しかし、状況の把握の甘さもつかんでおかなければなりませんでした。
理想と現実、自信と自身、今はどう考えていいのか解からなくなりました。 

こちらのメールを公開するにあたってはNさんを通じて、ご家族の方からも了解を頂戴しましたが、それでも充分刺激のある内容です。店を持つまでのこの様な苦しみがあるからこそ、開店後も大切に店を育て、店主自身も自分を育てるのだと思います。
私はこれまでも、これからも何度も繰り返してお伝えします。「楽に得られたものは簡単に手から離します。やっと手に入れたものは時間の経過と共に『宝物』に変わっていきます。