Tea Room 楓庵

文:ガネッシュ編集部 /写真:SorAsha

ガネッシュの紅茶を楽しめる
全国のティールームをご紹介

仙台市中心部、定禅寺通りのケヤキ並木に面する株式会社ガネッシュ直営のガネッシュ・ティールーム。1984年のオープン以来全国の紅茶ファンに愛され、「この一杯」のためにたくさんのお客さまが遠くから足を運んでくださいます。

でもやっぱり遠くてなかなか……そんな方もご安心ください。ガネッシュ新茶の紅茶を楽しめる全国各地のティールームをご紹介します。

 

今回は、宮城県大崎市岩出山にある『Tea Room 楓庵(ふうあん)』さんを訪ねました。

仙台から北へ車で1時間。伊達政宗の居城として栄えた城下町岩出山(いわでやま)にある呉服屋さん内に『Tea Room 楓庵』さんはあります。

誰もが一目でとりこになってしまうキュートな笑顔のオーナー、松本奈津子さんが迎えてくださいました。

ーー入り口の看板にもお名前が出ていましたが、楓庵さんは『呉服のまつもと』さんの中に店舗を構えていらっしゃるんですね。

(松本奈津子さん(以下同じ))
もともとこの建物は私の義理の両親が経営していた呉服屋でした。今の時代着物を着る機会は少ないですから、呉服屋というのはなかなか経営が難しい。さてどうしよう、と考えているときに、まずはこの建物と庭を活かしたいなぁと思ったんです。
当時岩出山には、カフェがひとつもありませんでした。だから人が集える場所としてカフェを作ったらどうかな、って。
呉服屋ってなんだか敷居が高いイメージがあると思うので、カフェを作ることでお客様の意識が変わって呉服屋自体にも入っていただきやすくなるかもしれない、とも考えました。

ゆったりとしたテーブル席から中庭を眺めながら。。。

 

ーー当初は「カフェ」になさる予定だったんですね。

実は私、全くコーヒーを飲まないんです(笑)  カフェにコーヒーが無いのはありえない、でも私はコーヒーを飲まないから全くわからない、どうしよう~と思っているときに、夫が
「いっそのこと紅茶一本でもいいんじゃない?」
と提案してくれました。

 

ーー奈津子さんはもともと紅茶がお好きだったんですか?

いえそれが、その当時私が飲むといったらティーバッグの紅茶くらいでした。紅茶のことは何も知らないに近かったですね。
まずは、紅茶が美味しいお店ってどこにあるのかな、と雑誌を読んだりネットを調べたりしてみましたが、なかなか行ってみたいと思える場所がなくて……やっと見つけたのがガネッシュさんのお名前でした。
さっそくガネッシュさんのティールームに行ってみて、まずはメニューにおすすめと書いてあったアッサムミルクティーをオーダーしました。

 

ーー初めて飲んだガネッシュの紅茶を覚えている!ずいぶん前のお話ですよね?

はい、2010年です。覚えていますよ~!それまで飲んだことがない味、そして色と香りでした。特に色と香りは、それまで着目したこともなかったので、ミルクティーってこんな香りがするんだ~とすごく新鮮でした。
ティールームでガネッシュさんの紅茶教室のチラシを見つけて、メモして帰りました。
そして、紅茶の美味しいお店を探すのと並行して、ケーキ作りの教室にも行ってみたんです。そうしたらそのケーキ教室の先生が、まったく偶然なんですが、その当時ガネッシュの店舗の一つで店長をしていらした方で!
ティールームとケーキがバッチリ繋がって、「ここだ!」と思いました。

ーーお菓子作りは経験がありましたか?

いえそれに関しても全くの素人でした。三人いる子どもたちのおやつにときどき作ったことがある、という程度でしたね。
2011年の1月半ばからガネッシュさんに通って、紅茶の淹れ方からお菓子の作り方まで全てを習いました。教えていただいて、メモをとって、実習でやってみる、の繰り返しでした。
2月末には阿部社長から「これで一通りできるはずだよ」と仰っていただいたんですが、私はまだ不安で。このまま続けたい、と社長にお願いして、ガネッシュさんで勉強を続けさせていただきました。
岩出山は冬が長いので、冬の間に勉強をして、いろいろな準備を整えてから5月にオープン、の予定だったんですが……。

 

ーー2011年3月11日。東日本大震災がありました。宮城県は大変な被害でしたね。

ここは直接大きな被害があったわけではありませんが新しくティールームをオープンするという雰囲気ではなかったので、2011年5月のオープンは頓挫しました。
時は流れて2013年になり、もう半分諦めかけていたときに夫が「今やらないと尻すぼみになるよ!」と後押ししてくれたんです。
そこで阿部社長にもう一度ご相談して、再度ティールームで一連の動きを確認させていただきました。オーダーのとり方から紅茶を淹れてお客さまにサーブするまでの流れ、洗い物はどのタイミングですればいいのか、丸一日の動きを全てメモしました。
2011年の研修の時に教えていただいたシフォンケーキをおさらいしてみたら、何度焼いてもしぼんだり大きい穴が開いたり失敗だらけ!ガネッシュさんに相談して、油を変えたり卵白の泡立て方や卵黄生地との混ぜ方をもう一度おさらいして解決しました。
このおさらい期間を経て、予定より丸2年遅れた2013年5月11日にオープンしました。

 

ーー楓庵さんのメニューを拝見すると、ストレートティーが6種類、ミルクティー5種類、オリジナルティー7種類、計18種類!オープン当初からこんなにたくさんの種類を用意していらしたんですか?

はい、オープンの時からです。メニューの中身は全てガネッシュさんで教えていただいたレシピそのもの。阿部社長に「うちのレシピを好きに使っていいよ」とおっしゃっていただいたので、そのまーんま使わせていただきました(笑) その他、季節ごとにオススメのアレンジティーを数種類プラスしてお出ししています。
田舎町という土地柄もあって、こういう場所ではどうしてもコーヒーを飲みたいとおっしゃるお客様もたまにいらっしゃるので、2種類のブレンドコーヒーを用意しています。でもコーヒーはあくまで脇役、紅茶が主役という気持ちは変わっていません。

アッサム・ストレートティーにうつる中庭の紅葉が綺麗です。

 

ーーあまり紅茶に馴染みのない方が多い町で、紅茶を全面に出したティールームをオープンなさったわけですが、反響はいかがでしたか?

そもそも「開店のお知らせ」は特にしなかったんです。うわーっとお客様がいらしても対応ができないので、「ちょっとずつ」でいいなと思ったからです。
まずは近所の方やお友達が来てくれました。
それから徐々に広がって、今では岩出山だけでなく古川市からも、半径15kmくらいのの範囲で、ドライブがてら来てくださるお客様も多いです。
50代~60代の女性のお客様が多い印象ですね。お友達と一緒にゆっくり過ごされたり、おひとりで読書をなさったり。
ランチメニューはないのですが、スコーンやスイーツセットをランチ代わりに召し上がっていただくことも多いです。
意外なことに、「紅茶が好き」とか「紅茶って美味しいね!」とか言ってくださるお客さまが多くて、私自身びっくりしましたし、嬉しい発見でした!

 

ーー楓庵さんはテーブル席の他にカウンター席もあります。元々呉服屋さんだったお座敷部分や和雑貨コーナーを挟んでいるので、厨房からテーブルまではけっこうな距離がありますね。30歩から40歩くらいでしょうか。お一人でお店を営業なさるのは大変ではないですか?

カウンターが3席、テーブル13席ですが、オープン以来、私ひとりでやっています。不思議となんとかなっていますね。お手伝いの方をお願いしたことはありません。
お客様も私が一人だとわかってくださるので、「混んでるもんね」「ゆっくりで大丈夫よ」なんて声をかけてくださったりして。

ーー全くのお一人で!もちろん大変なところはあると思うのですが、奈津子さんの表情からは全く大変さを感じません。お休みなどはどうしていらっしゃるのですか?

定休日は月曜日と第1・3日曜日です。それ以外の日曜日と火曜日~土曜日が営業日で、これはスタートした時から今まで変わっていません。
月曜日は、仕込みや買出しをします。
『新茶の紅茶』に出会って以来、ダージリンティーを1日2杯飲むのが日課になっているのですが、『新茶の紅茶』を飲み始めてから、気のせいか風邪をひかなくなったんです。冬はミルクティーに生姜のすりおろしを入れたりします。
本当に風邪ひかないんですよ!寝込むことがなくなりました。
子どもたち3人の好物はアイス・ミルクティーです。テストを頑張ったらタピオカ入れてあげるよ~なんて言って。タピオカは下ごしらえに一手間かかるので(笑)

「スイーツセットに飾るミントを摘んできますね」
裏庭に回って家庭菜園のミントを摘み取る奈津子さん。

 

ーーそういえば最近ブームのタピオカですが、ガネッシュでは実はもう20年近く前からタピオカ・ミルクティーがメニューにあるんですよね。ま、淹れる方からすると少し下ごしらえは面倒かもしれませんが…(笑)
面倒かどうかは別として、奈津子さんが作っていて楽しいと感じるメニューはありますか?

楽しいのはスイーツセットです!よくばりにてんこ盛りにしちゃう。お客様にお出しした時に「これで一人前なの?!」「食べられないわ~!」ってびっくりしていただくのが楽しいんです。そうおっしゃっていた方が完食すると「よし!!」って嬉しくなっちゃいます。

食器はひとつひとつこだわって買い揃えました。

 

ご家族の後押しもあって実現した呉服屋さん内のティールーム。中庭を眺めながら贅沢にゆったりとした時間を過ごすことができます。いきいきと咲く奈津子さんの笑顔を、ぜひお訪ねください!

 

<SHOP DATA>

Tea Room 楓庵
住所:宮城県大崎市岩出山東川原町5-8
電話番号:0229-72-0378
営業時間:(火)〜(土)および(日)(ただし第1・第3日曜日を除く) 9:30〜16:30
定休日:(月)および第1・第3(日)