阿部耕也の紅茶日記
秋茶はもう古いお茶???? 6/23

 今日もまた、「春茶はいつから販売ですか?」という一本の電話で始まりました。皆さんが本当に春茶を待ちわびているということが痛いほど分かります。あの香りと緑茶の味わいを残した若々しい味わい。このみずみずしい季節にぴったりです。
それでは11月に摘まれた秋茶はもう古くなって美味しくなくなってしまったのでしょうか?いや、そんなことは決してありません。むしろ茶葉が安定している時期ですので、良質な茶葉であれば入れ方にこだわらなくてもいつもと変わらない美味しさを得られるはずです。もともと紅茶は完全発酵茶ですが、最近は良質な茶葉ほど95%位に発酵を抑え、その微妙な味わいを残す製法に変わってきています。ですから農園にとっては独自の味わいを出しやすくなりましたし、私達にとってもよりたくさんの味や香りを楽しむことが出来るようになりました。一方、発酵状態が完全に終了していないということは安定した味になるまでに時間がかかることにもなります。私が思うに3、4ヶ月は必要だと思われます。繰り返して申し上げると、安定した美味しさは摘み取られて3、4ヶ月から1年の間です。ですから1999年11月摘みの秋茶は古いどころか、今が安定した美味しさを得られるいい状態の茶葉であると言えます。今年、インドは干ばつの影響で春茶の収穫が遅れ、2000年春茶のティーオークションが 5月15日に初めて開かれました。インドで4月中旬に摘んだ茶葉を紅茶に加工して輸出の手続きを済ませ、飛行機又は船に積まれて日本に到着したら、今度は輸入の手続きをして販売されるのですから皆さんの手元に届く頃には夏になっていて不思議はありませんよね。むしろ2000年の春茶が4月に発売されていること自体が物理的にも不思議なことではありませんか。確かに春茶でも何年摘みの春茶なのかと疑ってしまうほど、巷では競って「春茶」「春茶」と盛んに売り出されていますが、果たして皆さん春茶の味に満足して召し上がっておられるのでしょうか?春になったら春茶,夏になったら夏茶、秋になったらいち早く秋茶、この思いが理解できない訳ではないのですが、元々は季節ごとの紅茶の味わいがあることを皆さんに知って欲しくて伝え始めたことです。ガネッシュ新茶の紅茶としてはまず第一に美味しさが基本です。春茶発売というキャッチコピーに心が揺れるのは当然ですが、春茶を飲みたいのか、美味しい紅茶を飲みたいのか。さぁ、皆さんはどちらでしょうか?
春茶、秋茶についてインドで出会ったおもしろい話があります。この話は次回お話しします。