パン屋さん

文:ガネッシュ編集部 /写真:SorAsha

パンといっても小麦粉とイーストで焼き上げたパンではありません。

こちらのパンは、ベテル・リーフあるいはキンマと呼ばれる葉っぱに包まれた噛みタバコのようなもの。写真奥にある緑の葉がベテル・リーフで、この葉っぱに、写真真ん中の丸い実(アレカ・ナッツ)、石灰、タバコの葉、その他のハーブなどを好みに合わせて包んでもらい、口に放り込んでくちゃくちゃと噛みます。

噛んでいるとどんどん唾液がでてくるのですが、その唾液を所構わずペッと吐き捨てるのがインド人スタイル。吐き捨てられた唾液はアレカ・ナッツと石灰が反応し、童話の挿絵にあるレンガのような、独特の赤茶色をしています。
インドの道路、建物の隅、あらゆるところがこの赤茶色に染まっているのはこのパン(を含んだ唾液…)のせいです。

パンはインドの大人の嗜好品として広く消費されていますが、アレカ・ナッツやベテル・リーフは健康に悪影響があることが確認されていますので、おすすめはできません。
同じ「パン」という名前で呼ばれ、同じ屋台形式で売られているパンの中には、マウス・フレッシュナーに特化した身体にやさしいパンもあります。いつかそのパンもご紹介できたらと思います。