阿部耕也の紅茶日記
第3回「イギリスで体験したお茶」

この辺りで一度、、、私の紅茶体験を(1)ホテルのアフタヌーンティー、(2).ティールームでのティー(ロンドン/ロンドン郊外/地方)、(3)普段のお家でのティーに大別してその雰囲気をざっとご報告したいと思います。

まず日本では英国紅茶の象徴のように思われているアフタヌーンティー体験のお話から。私が学んだ日本紅茶協会の定義では、「主婦(女主人)が主催する『午後のお茶会』のことで、それは『社交』を目的に特定日の午後4時頃始まるとても優雅で豪華なティータイム」と認識されるものです。今では家庭でそのようにカチカチのティータイムを執り行うことはほぼありません。代わりにホテルやティールームが当時の雰囲気を今に伝えてくれています。皆さんもよくご存知の三段トレーに盛られた食べ物の数々は、おしゃべりをしながら紅茶と食べ物を交互に口に運ぶために最良で完璧な形を呈しています。それは食べ心地良く、会話を遮らない工夫に満ちた食の芸術とも言えます。簡単に言えばしょっぱいものから甘いものへ食べ進みます。下段から上段へ向かうのです。決して後戻りはなさいませんようご注意下さい。食べ放題と違うのはこの点ですね。さて下段から塩味のフィンガーサンドイッチ、中段にスコーン、上段に凝った繊細な小ぶりのタルト・エクレア・チュイール・焼き菓子等が盛り付けられるのが一般的です。食べ物と紅茶は「たっぷり」提供するのがアフタヌーンティーですからこれらは基本的にいくらでも食べること、飲むことが出来ます。”このようなサービスを存分に受けるためにも後戻りは禁物です”。3日目に体験したブラウンズホテルでのアフタヌーンティーで最も印象に残っているのは細やかで上品なサービスです。こんな時はチップも納得し奮発して結果40ポンド(32.5ポンドが基本価格)の支払いとなりました。日本円で10,120円です、、、。

 

グローブナーハウスというホテルではシャンパンを付けても35ポンド、これは全て込みの金額です。格式の高いところはサービスの査定をお客様に委ねるのでしょうか。ちなみに「予約は2週間前から」とよく言われていますが、ロンドンの格式の高いホテルの場合は本当でしたのでご注意を。

 

地方のティールームで体験した時は安いところで7.6ポンド、日本円で1,900円です。高くても12ポンド、日本円で3,000円です。サービスの厚みと質の違いでしょう。

ところでイギリスでも紅茶店を「ティールーム」と表現するものと思い込んでおりましたが、現地の日本人の方に「紅茶だけを提供する部屋(空間)なんてない」と注意を受けたことがありました。

さてロンドンでは公園内併設の喫茶ルームや美術館、ホテルなどでスタイリッシュな紅茶を楽しめます。一方、郊外や地方に行くと昔ながらのイギリスの姿を留める店構えや内装が素敵だったり、手作りの伝統的なお菓子を食べることが出来たりもします。それらはチョコレートを用いたもの、レモンメレンゲパイ、ビクトリアサンド、キャロットケーキなど様々です。スコーンはもちろんのこと、ティーケーキと言われるものやクランペットなどもありました。さきほど「ティールーム」と表現するのは適切でないと現地で教えられたと言いましたが、その根拠はメニューにあるようです。そこでは朝食やランチのメニューがあったり、スープ、ジャケットポテト、各種サンドイッチなどの軽食のメニューがあったりもしますし、ドリンクのメニューも豊富で、しかも私が訪れた7~8月などはそのような店でさえも私以外に紅茶を注文するお客はいないのが現状です。では私はどのようなものを食べていたかと言いますと、その半分は「クリームティー」というセットを注文していました。

>それはスコーンと紅茶のセットです。大抵スコーンは2個ついて、地方ほど素朴で大ぶりです。たっぷりのクロッテッドクリームとジャムが添えられるこのセットは、アフタヌーンティーより手軽に紅茶を楽しむことを目的としているようです。このクリームはイギリスの南西部でよく作られる高脂肪のクリームで、固めの錬りゴマのようなものですが、口どけはヒンヤリと涼やかです。ジャムと共に載せて口に運ぶと何とも言えない満ち足りた幸福感に包まれます。紅茶にはミルクの他、100%お湯(さし湯)が付いてきます。そのお湯の使い方は自由です。カップに注いで自分のお気に入りの味に調整しながら飲んだり、ポットに注いでいわゆる2番煎じを楽しんだりしていました。店によってはこのお湯だけは何度でも運んで来てくれます。

ちなみにクリームティーは7回体験してその平均が5.5ポンド、日本円で1,375円です。一番安かったのはスコーンの産地にほど近い店で3.8ポンド、日本円で950円です。一番高かったのはロンドンで食べた時でスコーンが1個しかつかないにも関わらず7.3ポンド、日本円で1,825円です。

お家でのティーの詳細は第2回目に詳しくリポートしているので省略致します。

以上が私の体験したお茶のだいたいの様子です。次回はイギリスの紅茶はおいしいのか不味いのか、もっと踏み込んだお話をしたいと思います。アフタヌーンティーに関してももう少しお伝えしたいことがあります。そのルーツと言われているある場所を訪ねて来たので、、、。