阿部耕也の紅茶日記
2004年秋茶アッサムティー

さて、毎回の事ながら、ガネッシュ『新茶の紅茶』として選ばれる基準を満たすアッサムティーはなかなかありません。アッサムティーは元々煮込みタイプのミルクティー用としてその殆どがCTC加工されます。そのCTC加工された茶葉をストレートティーとして飲む事はインドでは全くと言っても良いほどありません。CTC加工されたアッサムティーはミルクティーとして美味しい紅茶を追求したものです。
私がインドでチャイと初めて出会った時はその美味しさに感動して滞在中、日に10杯はチャイを飲んでいました。そしてその味とこくにすっかり魅了され、帰国の際に持ち帰りました。日本に戻り家庭の味に舌鼓を打つうちに体調も日本の気候に慣れすっかり元の生活に戻ったある日、写真を整理しながら久しぶりに味わうインドの味に・・「あれっ??こんな味だったかなあ??」「いつもと同じように作ったのに・・」つまり初めて出会ったあの味とは違うのです。あの感動が戻ってこないのです。それは体がインドの気候と食事に慣れてくるに従って美味しさが増してきた「チャイ」が日本での生活には馴染まなくなった事を意味します。気候を始め食事の質、水と牛乳の質そして何よりもインドで通常好まれているアッサムミルクティーのその茶葉が、日本で飲む味覚とはマッチしないのです。当然この私もその洗礼を受けました。インドでは暑いからといって冷たいものをがぶがぶ飲んだりはしません。ガッチリ煮出した濃い味の熱~いチャイかたっぷりお砂糖を入れた甘~いストレートティーを飲んで汗をかく事で体を冷やします。気候の違いは体が求めるものや味覚に当然影響します。
ガネッシュではミルクティーとして美味しい紅茶を追求してCTC加工されたアッサムティーを敢えてまずはストレートで飲んで美味しいことを競り落とす第一の基準としています。当然ミルクを入れた時にこくがあって水色が良いこと、香りに日なた臭さがない事なども基準になります。元々ミルクティーの為にCTC加工されているのですからそれは非常に厳しい条件になりますので私達の基準に合うお茶は10農園に1農園あるいは20農園に1農園だったりします。アッサムティーを選ぶ大変さはありますがこれまで『新茶の紅茶』アッサム・フラワーティーはその期待に気持良く応えてくれています。
2004年秋茶の第一回オークションに出品されたアッサムティーについては1農園だけストレートで飲んでもほれぼれするほどの素晴らしいお茶がありました。こういう出会いは選ぶ私達をうれしくさせてくれます。