阿部耕也の紅茶日記
2003年春茶 その3

 さて、ひとつのシーズンが3週間ほどで摘み取り加工が終わってしまうことをお話ししました。ということは本当に美味しくて品質の良い紅茶がどの段階で出品されるかを判断しなくてはならないということです。つまり二週目、三週目の紅茶をティスティング出来ない状況で今回競り落とすかどうかの判断を下さなければならないのです。これは非常に難しい判断です。この解決策としてカルカッタにいるティーテイスター(実は私の紅茶の師匠)からの情報が極めて重要になります。一週目の紅茶をティスティングしながらカルカッタにある二週目以後の紅茶を現地でティスティングしてもらい、互いに検討するのです。ですから同じ感覚と茶園の冷静な状況分析力を持ち合わせてないと優れた紅茶を競り落とす事が困難になります。私の場合GAUTAM GHOSH氏という素晴らしい師に巡り会えて大変に幸運でした。殆ど同じ味覚、臭覚を互いに持っていますので、決断をするのに迷うことがありません。出会ってから早22年が過ぎました。