『新茶の紅茶この一杯』
〔沖縄県浜比嘉島 昔ながらの塩作り編〕

湧水レポートに続き、塩についても新茶の紅茶とのコラボレーションを楽しみたいと思います。

 

X’mas直前にも関わらず沖縄が夏日となったこの日、訪ねたのは、沖縄県うるま市にある浜比嘉島の『塩工房』さんです。

オーナーで塩職人の高江洲(たかえす)さんの案内で、塩作りの工程を教えていただきました。

塩工房に隣接する海岸からの眺めは、時と場所を忘れさせてくれます。様々な緑色と青色が織り成す海の表情には飽きることがありません。

紺碧の海から汲み上げた新鮮な海水を竹の棚を通す間に太陽と風の力で濃縮する製塩方法は、流下式塩田と称されています。

 

これを煮詰めることで塩は誕生するのですが、その過程でナトリウム(塩)だけではなく、にがりの成分(ミネラル)として、カルシウム(甘味)、カリウム(酸味)、マグネシウム(苦味)も出て来ます。

このにがり成分を程好く残すことで、旨味のある塩に仕上がるそうです。

たった1人で全ての工程を行う高江洲さんは、これぞ沖縄人(うちなんちゅう)という空気に充たされている素敵な方で、人を惹き付けるニコニコ顔の奥には塩に対する情熱が満ち溢れています。

氏の指導のもと、私も自分で塩を作らせてもらいました。濃縮した海水を小さな石の器に入れて、20分程せっせとかき混ぜながら煮詰めます。甘味を出したかったので、程好く煮詰めたところで早目に火を止めました。

 

出来立てほやほやの塩を使って、チベッタンミルクティーを煎れました。

多少多目のアッサム茶葉を水から煮詰め、そこに沖縄県産の牛乳を加えて更に煮込みます。出来上がったミルクティーには黒糖和三盆と浜比嘉島の自作塩、仕上げに発酵バターを浮かべました。

「こりゃ、旨い」と高江洲さん。同席された美ら島海道プロジェクトの日比さん(素潜りが生き甲斐)も、新茶の紅茶に塩とバターが加わることで普段以上にコクのある美味しさに仕上がったミルクティーに驚いていました。

いただいたリーフレットには ‘青く澄んだ海水を使って浜比嘉島の塩職人が手作りで100%天然の自然海水塩を作っています’ と表現されていました。

自然を強く感じられるこの場所と、丁寧に作られた塩と紅茶の組み合わせからでるエネルギーで、この日の『紅茶ゆんたく』は心地好く記憶に刻まれました。

 

あべ耕也 記