『新茶の紅茶この一杯』
〔大雪旭岳源水編〕

羊蹄山真狩の湧水に続きご紹介する湧水は、美瑛町の東、忠別ダムの上流にある大雪旭岳源水です。

硬度94。軟水の多い日本では非常に珍しい中硬質の水です。1分間に約4,600リットル、約7度の水が日々こんこんと湧き出ています。大自然の天然フィルターを長い年月かけて通ってきたミネラル豊富な水には、ほのかに甘い味わいが感じられます。匂いはありません。

試しに一年前のダージリン春茶(2015年)を淹れてみました。水の甘さと若干感じられる水のトロミが、緑の香り豊かな春茶の特徴を一層引き立たせてくれました。

一年前とは思えない新鮮な香りと味わいの良さに、新茶の紅茶が単に新鮮さだけを特徴としていないことを、このお茶を選んだわたくし自ら再確認することができました。

 

大雪旭岳源水は、そのまま上川郡東川町の地下水となり生活水として使われています。(東川町は上水道の無い町です。)

日頃この素晴らしい水を飲むことのできる町民が羨ましい限りです。

 

この東川町から世界に羽ばたいた青年がいます。

井上浩輝君です。

美しい写真で有名な雑誌National Geographicの2016 Travel Photographer of the Year Contest Nature部門で、堂々第1位を獲得しました。

受賞作品はこちらをご覧ください。

http://travel.nationalgeographic.com/photographer-of-the-year-2016/gallery/winners-nature/1

アメリカでこの結果が発表されたまさにその日、井上君に丸一日掛けてとっておきの撮影スポット等を案内してもらいました。旭岳源水仕込みのダージリンも一緒にたのしみました。

締めくくりに訪ねたのは彼が週に3回通うというとっておきのお店でした。お店は美瑛駅前にある『自家焙煎珈琲 北工房』。ヨーロッパを思わせる素敵な建物にオーナー手作りの突き出し看板が映えていました。

こちら北工房さんでは、多くのファンを惹き付けている特製の珈琲の脇役として、我がガネッシュの新茶の紅茶もご提供いただいております。

美しい北の町に、はるばるインド・ダージリンとアッサムからやって来た新茶の紅茶。オーナー自ら丁寧に点ててくださる様子を見ていたわたくしは、胸が熱くなるのを感じました。

 

阿部耕也 記