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   紅茶日記



『新茶の紅茶この一杯』〜番外編

 

大変ご好評いただいております全国湧水レポート『新茶の紅茶この一杯』。

社長阿部耕也に代わりましてマネージャーAが、番外編をお送りします。

 

全国津々浦々、旅を続ける弊社社長。訪れテイスティングした全ての湧水・源水が、このレポートに上っているわけではありません。

今回は、取り上げられることのなかった湧水の中からひとつを、お蔵入りになった理由とともにご紹介したいと思います。

 

神無月初旬、那須を訪問中の社長が足をのばしたのは、栃木県北部の塩谷町に位置する「尚仁沢(しょうじんさわ)湧水」。

この湧水は、昭和60年に環境庁から「全国名水百選」の認定を受け、地域の方々ばかりでなく遠く町外のみなさんに親しまれているそうです。

 

水の湧き出る場所は、町のシンボルである高原山(たかはらさん)の中腹に位置し、付近一帯は樹齢数百年にも及ぶ原生林に覆われています。

急勾配を含む約1500mの遊歩道を歩いて、湧水箇所まで向かいました。紅くなり始めた落葉が、足下でしゃっくしゃっくと小気味よい音をたてます。遊歩道傍を流れる幾筋もの荒川源流は、どれも豊富に水を湛え、川が放つ細かなしぶきが森全体に行き広がっているかのようです。

森の奥、川の流れが突然消えたその場所に「尚仁沢湧水」の標識が立っていました。流れの始まるその場所は、幅が2メートル以上あります。

森深くに突如川が始まる光景は不思議に思われましたが、目を凝らすと、川底から一筋の水が力強く湧き上がっているのが確認できました。ここを含めた10数箇所の湧水群から、日量約65,000トンの水が湧き出ているそうです。

湧出しているその場所は、残念ながら水を汲むには適さない足場でした。少し離れた場所にある尚仁沢名水パークで、源泉から直接導水した水を楽しむことができます。

 

こちらの水で2016ダージリンの春茶を淹れてみました。

少し雑味が目立ちます。また、春茶特有の爽やかさが、尚仁沢湧水の力強さに負けています。

 

どうやら尚仁沢湧水(名水パークでいただくことのできる尚仁沢湧水を飲んだ限りで)は、原生林に萌える緑の薫りも末枯れゆく草木の薫りも、全てを包摂して我々の口に届けてくれるようです。

その野性味は、ダージリンの高原で霧に抱かれながら静かに芽吹いた春の茶葉とは、あまり相性が良くないように感じられました。

(写真:尚仁沢湧水で淹れたダージリンストレートティーに頭を捻る社長)

 

アッサムミルクティーも淹れてみました。しかしこれも、アッサムの甘みが高原山の緑に閉じ込められてしまったかのようです。

個性を対抗させてスパイスミルクティーなら?...しかしこれでは、各地の「水を活かした」レポートにはならない気がします。

 

果たしてお料理なら...。

秋田県名産のじゅんさい(水草の一種で、ゼリー状のヌメリに覆われた新芽をいただく)を水だけ、他の味付けなしにいただく、繊細な一品があります。そのような小鉢であれば、この名水の個性を楽しむことができるかもしれない。などと想像してみました。

 

が、結局、『新茶の紅茶』と尚仁沢湧水とのコラボには閃きを得ることができないまま。

そしてそのままお蔵入りとなっていたわけです。

 

この他にも幾多の「お蔵入り」湧水があります。いつかまた機会をみて、ご紹介できたらと思います。

この尚仁沢湧水も、別のシーズンの『新茶の紅茶』であれば、また違う魅力が生まれるかもしれません。

そう考えると、湧水をめぐる旅の可能性は尽きるところがありません。

 

なお、こちら尚仁沢湧水は、福島県の原子力発電所の事故による放射能の影響を考慮し、水質検査を実施しているそうです(放射性ヨウ素・放射性セシウムともに不検出)。

湧水に向かう道の両脇には、放射性廃棄物最終処分場の設置に反対する看板がずらり並んで立っていました。

尚仁沢湧水を堅く守りたいという住民の方々の想いが感じられました。

 

マネージャーA記