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   阿部耕也の紅茶日記




『Tea Room 森のらくだ』便り その5

Tea Room 森のらくだ 仙台での研修

 2009年9月、仙台研修が始まりました。

「新茶の紅茶」と出会ってから、2年近く経ち、この紅茶とは毎日つき合ってきて親しい友にはなっていたので、少しは立て方にも自信が付いてきたかと内心は思わぬでもありませんでしたが、はたしてこの研修がこれまでの仕上げになるのか、はたまた1から出直しになるのか、私には知る由もありませんでした。

研修にあたり、阿部先生からお話がありました。

「馬に乗ることに例えるならば(……というのは、先生も私も昔、馬に乗っていたのです)特定の馬だけを乗りこなすことが“馬に乗れる”ことではない。色々な性格をもつあらゆる馬を乗りこなしてこそ馬に乗れるということです。君には本当の意味での馬乗り(紅茶のスペシャリスト)になってもらいたい。10日間は短い。今回は技術の習得以外に使える時間はありません。店の手伝いは一切しないで下さい。とにかく一杯でも多くお茶を立てて下さい」

おっしゃることはすごくよくわかります。しかし、求められているレベルが高い!それもすごくよくわかります。さあ大変です!!

 2つの店を行き来しながらの研修が始まりました。一番町店ではお茶、定禅寺店ではお菓子を学びます。私の受け入れのために、スタッフの皆様が資料を用意し、スケジュールを調整して下さっていました。皆様の高い意識が伝わってきます。

 「お茶の味がしません」

 「水っぽいです」

 「ミントの葉の臭みが出ています」

 「味がぼやけています」

 「味がきりっとしていません」

 「アイスティーがぬるくなっています」

 「手順がちがいますよ」

あわわわわ……とバタバタ、パニックになる私。お茶の味の表現は色々な言葉で表されるので、とにかく飲む。自分の立てたもの、先生方の立てられたもの、OKのもの、NGのもの、熱いもの、冷めたもの、全部飲む。そして感じて、それを覚える。

 「これがキリっとしない味か……」

などとくり返し覚える。

それが文字では残せない所が難しい!飲みすぎてよくわからなくなる。つくづく感覚の鋭い人がうらやましい。いや、そんなことを言っているヒマはない。

 お店が混んできて私に教える余裕がなくなる時もあります。

お皿やお茶碗は山積み。思わず洗い物に手を出す。

 「それは色摩さんの仕事ではないでしょ」

ハイ!そうでした!!私はそんな時は「見る」のでありました。自分がお茶を立てない時は「見る」のが私の仕事です。

 定禅寺店でのお菓子の研修も同じ、先生の手許を見る。(この「見る」ということに対する真剣さが足りない、と私を叱って下さったのはガネッシュのスタッフであり、ティーインストラクターの平中さん。今でも心に残っています)。お菓子は経験者であるが故に気が緩むことがあり、紅茶よりも要注意でした。まさに初心忘るべからず。自分がやっている手順やタイミングと異なっていて、かつ、合理的だと思うことも多く、それも勉強になりました。原田先生はとにかくスピーディーかつ丁寧かつ合理的なのです。

 休憩時間には仙台のおすすめカフェをピックアップして頂き、見学を兼ねて行ったりしました。その日の研修終了後、遅くまで開いているお店にいったりもしました。仙台にはとてもカフェが多いです。ガネッシュのように2階にも3階にもたくさんカフェがあります。それも昔から営業している所が多い。文化が根付いているのでしょう。一方の大阪では1階に「喫茶店」という佇まいのお店、という風景が多く、若者のエリアに行くと急に「カフェ」然としたお店が並ぶ……そんな印象を受けます。土地の持つ雰囲気の違いを感じました。お店によってなにが特徴なのかも勿論違います。

・ 店主自身の魅力、常連さんとの繋がり

・ 特色のあるコーヒー、紅茶、お菓子、ごはん

・ お店の雰囲気、ロケーション

・ 使い勝手の良さ

・ ひたすら自分ワールドの空間追求

などなど、本当に店主が「どうしたいか」なんだと改めて感じました。夜、宿に帰ってノートをまとめているといつのまにかウトウト……。習得度合はさておき(!)、毎日クタクタに疲れていました。

 お茶とお菓子の最終チェックは阿部先生。OKが出ることもあれば、時には「やり直し」もあり。私の課題は、一度OKをもらった後で時々ヘマをすること。OKをもらった、できた、ということに自信をもってそれを蓄積していくこと。「自信を持ってたてたお茶は自信に満ちた味になる」のです。この研修は最初に書いたように技術を習得することが目的だったのですが、そのためには気持ちの強さも不可欠であることが見えてきました。強い気持ちがあってこそ、技術を身につく。阿部先生はそんなことも全て考慮して研修を組まれたのでしょうか……。

 ご指導のおかげで何とか全メニューの合格を頂くことができました。そして研修の最終日再び先生からのお話がありました。

 「今回の研修は技術を習得するためのものでした。お店にはいろんなお客様がこられます。お客様それぞれを見た+αの接客が出来ることは素晴らしいことですが、まず君の仕事はきちんとした紅茶ときちんとしたお菓子を出すことです。第一の仕事はそれ。それがちゃんとできて初めて次のことを考えていけるのです。それを忘れないで下さいね」

様々なタイミングで様々なことを阿部先生はおっしゃいます。その時の私への言葉の処方箋は「業務としてきちんとしたお茶とお菓子を出す」でした。美味しいお茶が立てたい、おいしいお菓子を作りたい、と改めて思いました。こうして、あっという間に10日間の研修は終了し、私は仙台をあとにしました

 帰った翌日には台風が日本中で大暴れしていました。テレビに映される浸水した仙台の街。本当に仙台にいたのかな?いや、いたんだなぁ……。翌日は台風一過。さて、大阪の街を歩いていこう。いつ、どこで「場」と出会うのか全くわからないけれど、10日間の研修を経て何か新しい展開があるかもしれない……。そんなふうに思い、一息ついていた私。まさか2ヶ月もしないうちに阿部先生と大阪で再会することになるとは思ってもいませんでした。

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