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   阿部耕也の紅茶日記




『Tea Room 森のらくだ』便り その2

Tea Room 森のらくだ 阿部先生との出会い

 2008年12月、紅茶講座の申込のためにガネッシュに電話をしました。

「もしもし」

初めて耳にする阿部先生の声。私は「紅茶のお店をしたいのです」と言っていました。もう1人の自分が「こいつ、言いやがった」と言っているような気がしました。3回目の仙台は旅行ではなくガネッシュに行くため、阿部先生に会うための仙台となりました。

 当日、約束の時間は12時〜20時、早朝の飛行機で仙台に着き、ガネッシュティールームのもう1店である一番町店に早めに入り、阿部先生を待っていました。

待っている間、この8時間という時間について考えていました。果たしてこの時間は長いのか、短いのか、どう使っていったらいいのか。自分でもよく分からないまま仙台に来てしまいました。そこに先生が来られました。

 「この人が、あの気のこもった文を書いていた人なんだ」

それが私が最初に思ったことだったように思います。あいさつを済ませると、

 「どんな風にやっていきましょうか」

と問われ、

 「お店を開くことについて、哲学の話も交えながらお願いします」

と言いました。

先生は思考を整理するために哲学の勉強会も催しておられるので、自分の中の開業の考えをまとめていくにあたり、哲学という未経験の話にもふれながら話ができれば面白いかなと思ったのです。

 「質問してください」

と、先生はおっしゃいました。

 「え?」

 「何でも答えます。僕が答えられることには全て答えます。何が聞きたいですか?言って下さい」

私は「ぐっ」と詰まってしまいました。何をどう聞いていいのかがとっさに浮かびませんでした。しばらく待っても質問が出てこないのを見た先生は、素早く見切りをつけ、逆に立て続けに質問を始めました。

 「場所はどこでしたいの?具体的に決めてるの?」

 「広さはどれくらいがいいの?家賃はどれくらいを考えているの?」

 「1ヶ月にいくら収入がほしいの?」

 「どれくらいお休みがほしいの?」

 「1人でするつもりなの?誰かと一緒にやるの?」

今から思えば、極当たり前の質問。お店をするなら答えられるであろうことばかり。しかし最初につまってしまうと頭に血がのぼってしまいました。当時大阪を歩いていて「良いな」と思った物件を思い浮かべながら、答えられる範囲で必死に答えはしたものの、しょせんは付け焼き刃。自分で答えながら自分の答えが上滑りしているのをひしひしと感じました。完全な準備不足。もっと具体的なことが言えるようになって来る所だったんだな。

しかし、来てしまったものはもうしょうがない。そもそもそれを具体的にしたくて来たのだから、今具体的なことがきちんと言えるはずがない。……とは思うものの、ろくに話せないというのはつらく、徐々に頭がもうろうとしてきてしまいました。

私の様子を見ていた先生は一度お店を出て、仙台の奥座敷と呼ばれる秋保温泉の老舗旅館、佐勘へと私を連れていって下さいました。佐勘のティールームには幕田さんと呼ばれる方がいらっしゃいました。幕田さんは先生と2人で「新茶の紅茶」を利用した「おかみの紅茶」を立ち上げるまでの話をゆっくり語って下さいました。とても誠実な人柄が話している最中にもにじみ出してくるような方でした。先生は実際にものごとを立ち上げた「先輩」を私にひきあわせて下さったのでした。その後、少しずつ話せるようにはなってきたものの、それでも口数の少ない私を見て先生は

「幕田くん、彼女、どう思う?僕はね、内面を楽に話せるようになったらいいと思うんだけど」

とおっしゃいました。先生のこの言葉の真意は今もわからないのですが、私はあれほど落ち込んでいたくせにちゃっかりそういう言葉だけは覚えている自分を今思い返しても笑ってしまいます。

先生はその後、ティールームカメリアの安倉さん、岡山での哲学会の詳細なレポートを出されている森岡さんのお2人に連絡をとって下さいました。

「近いうちに岡山に行ってカメリアというお店を見てきてごらん。とても勉強になると思うよ。そして安倉さんと森岡さんと話してごらん。きっと吸収できることがあるよ」

 「まずは自分の考えていることを全て書き出してみること。店のことのみならず、何が嬉しいことか、何がいやなことかそんなことも含めて。そして幕田君から学んだように、安倉さんがどんなふうにカメリアに立っているのか、森岡さんがどんなふうに自分の思考を整理していたのか、それを学んで自分がどう思うか、自分ならどうしたいか、それをまた書き出して考えてごらん」

そんな課題をもらってその日の「紅茶の話に一切触れない」紅茶講座は終了しました。宿に着くとばったりとベッドに倒れこみました。ふらふらでした。

 翌日、家に帰ってガネッシュのホームページをみていたら「紅茶日記」の中に、幕田さんのおかみの紅茶の話も、安倉さんのカメリアの話も、森岡さんの哲学会の話も、ついでに言うと「小さな喫茶店を開こうよ」シリーズの一連の文章も全て載っていました。私はそれらを全く読まずに仙台へ行き、とんでもない不様な姿を晒して帰ってきました。

でも、そのおかげで私の中で「このままではアカン」という想いがむくむくと膨らみ始めました。そして、この不様な自分を感じたことこそがこの時の紅茶講座の何よりの収穫だったと思います。

 そうして、私の2008年は終わりました。

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